ねむねむ日記

場面緘黙症だった私の生存戦略(受験、就職、結婚、子育て)

はじめに*

私は幼稚園から小学校6年生までの約9年間、

自分の家族以外の前では声を出したり、感情を表現することはなかった。

 

しゃべらないし、笑わないし、泣かない子供だった。

 

よくいる静かな子、というのでもなく、支援学級スレスレの子として

とりあえずクラスに存在していた。

 

そのような状態を場面緘黙(かんもく)症と言うらしい。

 

 

「話したくても話せない」

 

「どうしても話したくない」

 

「恥ずかしくて声が出ない」

 

のではない。

 

「この世に自分が発するべき言葉は一つもない」

 

この感覚が一番近い。

 

人と対峙すると目の前に透明のシャッターが下りてくる。

声は聞こえている。

言葉の意味もわかる。

でも返すべき言葉がない。

 

「なんでしゃべらないの?」

「そのままだと困るでしょ?」

「大きくなってもずっと黙っているつもりなの?」

 

私の子供時代はまだ今のようにインターネットで求める情報に簡単にアクセスすることはできなかったから、学校の先生も、親も、もちろん自分自身も、

私がなぜこんな人間なのか?

治療するべき病気なのか?

容認するべき個性なのか?

誰も理解できなかったし、これから先どうなっていくのか、どう生きればいいのか、ロールモデルとなるものに出会うこともなかった。

 

あなたは話せない。あなたの将来は暗そうだけど、誰も責任とらないからね。

ゆるやかに負の烙印を押され、突き放されていくのは恐怖。

せめて戦えるための武器や生き残りの戦略があれば。

 

このブログでは、ややネグレクト系の母子家庭で場面緘黙症児として育ってきた私の

学校生活、恋愛、就職、結婚、育児、人間関係について話していこうと思う。

 

いかに苦しかったか、悲しかったかに終始せず、なるべく具体的な生存戦略について語っていきたい。